ゆじらぶろぐ

構成作家。ライター。文章と言葉で誰かの楽しみを作りたいです。

和牛不在のM-1グランプリに望むもの

M-1グランプリの休止明け、2015年からのミスターM-1と言える和牛。

そもそも今年はM-1不参加を表明していたが、本当に不参加だった。
そして、2020年のM-1も準決勝進出者が発表され、決勝へ向けたドラマは着々と進行している。

コロナ禍における開催であり、当然例年と雰囲気も変わるだろう。

さらに、最初から分かっていたことではあるが
和牛の不参加をここに来て再確認してしまう。

当たり前だが、準決勝のメンバーに和牛はいない。

今年は参加漫才師たちの舞台に立った数も少なく、客前で新ネタを試すチャンスも激減した。

それゆえなのか、本命不在とも言える今年のM-1
どの漫才師が決勝に上がってもおかしくはない。

ラストイヤー組でも準決勝進出は学天即のみ。


まだ、ワイルドカードで一枠残されてはいるものの、本当に忖度はなし。
ラストイヤーも第7世代もテレビ露出も関係ない。

ここまで予測不能だからこそ、和牛がいれば文句なしの大本命だっただろう。

しかし、以前noteにも書きましたが、2017年のM-1は和牛が優勝している。

https://note.com/yujiliko/n/n7afcf4b301e6


この記事ではM-1史上、最大の歴史に残る世紀の大誤審について詳しく解説しております。
有料ですが、もしよろしければ読んでください。

実質、1度優勝している和牛だからこそ…
もう出なくていいと言えば出なくていい。
優勝したコンビが再び出場したケースも過去のM-1にはあるが、優勝したコンビは極力出ないほうがいいだろう…というのは完全なる個人的意見。

だが、準決勝まで来れば、和牛のいないM-1に少し寂しさを感じざるをえない。
何かが物足りないような気もするし、チャンピオンが出場する必要はないので、これで正解だと思ったりもする。

そもそも
なぜ、和牛がM-1戦士を象徴する存在になったのか?

もちろん、連続で優勝にギリギリ辿り着けなかったことが最大の理由ではあるが…
それだけではない。

あのキメの細かい芸術的漫才に我々は魅了されていた。

上手さは言わずもがな、上手さだけではない。

何か、凄く良い作品を観させてもらったような…
和牛はそんな不思議な感覚に陥る漫才をM-1で数々披露してきた。

そこにあったのは事後のインパクトの強さだ。

ご存知のように、M-1の決勝は漫才を披露した直後に点数を決めるシステムである。
それゆえ、一瞬の爆発力や場を制圧した圧巻の空気感を残せば高得点に結びつきやすい。

それ自体はエンターテイメントとして至極真っ当。
毎回得点が出るハラハラ感に一喜一憂がある。
間違いなく、M-1グランプリ決勝の面白さは点数が出るあの一瞬の時間にある。

だが、ネタが終わった直後に点数を決めなければいけないシステムゆえ…
場合によっては勢いだけで逃げ切れてしまう場合もある。

その場を沸かせ、笑いを取ったのは間違いないが
もう1度見直した時にどうなのか…?

もっと言えば、「ネタの内容を覚えていますか?」
そう聞かれた時に、「あれ?どんなネタだっけ?」となることもめずらしくはない。

客席が沸いていたのは覚えているんだけど…
ボケ数が多かったのは記憶しているんだけど…

正直、うる覚え優勝は過去に何度かあっただろう。

この現象自体に何かを言いたいわけではなく
そういったルールでやっている以上、そこで決まったことが正解。

そのルールに則った上で勝敗を決めているので、それがM-1グランプリなのですが

もし、仮に全漫才師の全ネタに点数をつけず
全てのネタ終わりで審査員が全員で協議して優勝を決めるルールだったとすれば…

和牛ほど強い漫才師はいないのでは?

いつかのM-1決勝で、水田さんと川西さんが顔を突き合わして睨み合う場面があったが
あの、言葉を使わずして爆笑を取る1シーン…

私は未だに忘れられない。

あまりの構成の美しさと見事な間の使い方に
M-1の現場にたくさんいる黒スーツの大人たちが、声にならない声を一斉に漏らし、どよめいた瞬間…

私は未だに忘れられない。

笑いを測るのは量だけではない。
笑いには取り方がある。

 

今年、2020年の準決勝、和牛はいません。

もちろん、荒削りでもバチバチにフレッシュな殴り合いを見せるのがM-1グランプリの醍醐味。
それは事実なのですが…

和牛抜きのM-1で期待せざるをえないのは

その瞬間の爆発力だけではなく
後からジワジワ押し迫ってくる面白さ。

良い作品観れたなあ…
また、観よっかな…

やっぱり、そんな漫才も観たい。

もちろん、全漫才師がそうである必要はないです。

いろんな漫才があっていいし、そこには正解などないのですが
漫才日本一頂上決戦として和牛の魂は引き継いでほしい。

勝手にそんな思いがあります。

ただ、準決勝に残った漫才師を見ると
これは決勝進出コンビを決める審査が難航を極めるカオス状態なのでは…

 

そんななか、ラストイヤーの学天即には豪腕の漫才筋肉を駆使して暴れ回ってほしい!

和牛不在、本命不在のM-1グランプリは個性の創造主たちが大挙入り乱れる
マイク一本で殴り合う究極のバトルロワイヤルになりそうだ。